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2022(令和 4)年 1 月 18日
公 開 質 問 状
北海道知事 鈴木直道 様
室蘭市長 青山剛 様
原発廃炉金属の再利用を監視する市民の会
共同代表 :池弘美 大倉幸子 椿曜子
連絡先:〇〇
e-mail(事務局):
saiensuki@frontier.hokudai.ac.jp
令和3年12月23日、室蘭市のホームページ3-1.pdf (muroran.lg.jp)に掲載された「福島県対策地域内高濃 度 PCB
廃棄物の処理について」中の「.有識者からの意見聴取」に関連して公開質問をいたします。
専門家からの意見聴取は、「室蘭市」ではなく、「北海道」の主導により行われたことを知りましたので、鈴
木知事を通じまして、久下裕司 様と吉田英樹
様、関連部門担当者様に、ご回答いただけますようよろしく
お願いいたします。また回答には回答者名も記してください。
今回の放射性物質汚染
PCB 廃棄物搬入の問題は、「放射性物質が付着したもの」という点であり、PCB 処
理そのものについて問うものではありません。
なお、質問に対する回答は 2月
18日までに、文書にてお願いします。
【質 問】
1.放射性汚染物質は移動させず封じこめることが原則ですが、今回放射能汚染された
PCB 廃棄物を福 島から移送して処理することについて、意見をお聞かせください。
2.北海道調査団の報告では 3
カ所の仮置き場に保存されている汚染物の表面汚染度が書かれています。
そのほか仮置き場に保存される前の汚染物があり、前者が全体の 4 分の 1 で、後者が 4
分の 3 近くありま
す。後者の表面汚染度はこれまで明らかにされていませんが、調査団は室蘭で処理するものは仮置き場
にあり 4 分の 1
が対象であるとの認識ですか。仮置き場に入る前の「保管庫」の汚染物の処理はどのよう
な手順で行われるのでしょうか。
3.仮置き場に入っていない「保管庫」のものは調査が進められているか、調査をしているとしたら誰が担当
しているか、昨年の 3
月以降の調査の進捗状況はどうなっているか環境省に尋ねられましたか。尋ねたと
したら、その状況を教えてください。調査が進んでいないなら何が原因で調査が遅れているかお尋ねになら
れましたか。
4.放射性物質で汚染されているものを汚染されていない場所に運ぶことは、その場所に汚染物を拡散さ
せ住民の被ばくの可能性を増加させます。国際放射線防護委員会は被ばくに安全と言える閾値がないこと
を認めています。今回の放射性物質の持ち込みが行われると室蘭市民は被ばくの可能性がありますが、
「閾値」について考えを聞かせてください。今回は医療等の処置で被ばくするケースや、汚染地域での除染
行為で住民が被ばくする場合と同列にしないでお答えください。
5.研究や医療措置、その他社会に必要とされる目的のために放射線管理区域から人や物を出入りさせる
際、現実世界ではどうしても放射性物質汚染を完全にゼロにすることができないため、社会的な許容の尺
度として設けられたのが、持ち出し基準(β,γ核種)汚染表面密度の基準「4
ベクレル/平方 cm」です。こ
れは行為における免除の考え方ですが、環境省は国際的な考え方や、国内法との関連を説明せず、適用
する放射性物質汚染対処特措法にもない基準を設定し、しかもこの基準を自主的に決めたと説明していま
す。これはわかりにくい説明ですが、このことについてなぜ容認できたのか説明してください。
6.原子炉の事故で噴出した放射性物質を被った物を扱うのですから、セシウム以外の放射性物質につい
てもチェックする必要があり、セシウムだけですべてを決めるのは問題だと考えませんか。放射性物質汚染
対処特措法で対象にしているのはセシウムだけですが、研究者としてこの点を自治体に提言してはどうで
しょうか。今回は処理の総量も分かっていない中での処理提案であることも含めてお答えください。
7.今回放射性物質汚染対処特措法を適用して処理が行われると説明されています。同法によれば、
8000
ベクレル/kg以下であれば処理ができるとなっています。この濃度の放射性物質を、原発事故の影
響を受けなかった地域で処分することは妥当と考える理由をお聞かせください。
8.安全対策として、空間線量率及び排気中の放射能濃度の測定を行うとあるが、空間線量率の変動幅を
超えるほどの変化が生じるのは、強い放射性物質の移動の場合です。今回の案件で住民の安全性が問
題になるのは、空間線量率の変化ではなく内部被ばくです。空間線量率を問題にしながら内部被ばくを問
題にしないのはなぜでしょうか。
9.排気中の放射性物質測定の検出下限値は 1
ベクレル/m3 とされていますが、検出限界が高すぎて、排
気中に放射性物質が漏れても検出できません。宮城県大崎市焼却炉では検出下限値は環境省公定法で
0.15 ベクレル/m3 で測定しています。試験的には 0.002 ベクレル/m3
レベルの測定が行われています。 検出下限値 1 ベクレル/m3
を容認する理由を説明してください。
10.運搬車両の周辺の空間線量率を測定するとありますが、先に述べた通り空間線量率が問題になるの
は、強い放射性物質を移送するときです。今回搬入予定のものは低線量のものと考えられます。わざわざ
空間線量率のことを述べるのは、なぜですか。空間線量率が振れるほどの放射性物質の輸送があるので
しょうか。
11.
現地仮置場で表面汚染物をふき取る行為は作業者を被ばくさせ、室蘭に搬入し汚染物を処理する過
程で JESCO
作業員を被ばくさせ、焼却処理をすれば周辺住民を被ばくさせる危険性を持ちます。さらに焼
却処理で生じる飛灰を福島県に戻せばまたそこで被ばくさせる可能性を増やします。
このように周りに被
ばくのリスクを与え汚染を拡散させるような処理を行うこと自体について、どのように考えますか。
12. 8000
ベクレル/kgまでの放射性廃棄物が北海道内に運び込まれ、一般廃棄物と同様の扱いで焼却
処理等されることになった場合、それが 10
年ほど続く場合、住民の内部被ばくへの安全性は保たれると考
えますか。福島では住民訴訟まで起きていますが、こうした現実をどう考えるかも含めてお答えください。
以 上
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★知事からの回答(2021.12.18)
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