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■北海学園大名誉教授 小坂直人さんの論文「ポリ塩化ビフェニール(PCB)処理をめぐる基本問題(4)ーPCB汚染と放射能汚染の複合化ー」

▼こちらからファイルをダウンロードできます。(44ページ)

 http://hokuga.hgu.jp/dspace/handle/123456789/4640


<ウォッチャーズ コメント>

この論文は、PCB に関してよくまとまっていて、重要事項を網羅しているので、みなさんに、ぜひ読んでもらいたいです。

●「PCB 特措法と 3.11 問題」
 P74 下から 1 行目~P75上から 4 行目

「肉塊の摘出が一滴の血も流さずに可能かどうか、のシャイロックに聞くまでもないように、放射能と PCB に汚染された機器から PCB 廃棄物だけをきれいに取り除くことは、至難というべきであろう。
中間貯蔵施設に搬入された福島県内除染廃棄物の県外搬出(最終処分に向けた)の予行演習ともいうべき措置が、今回の対策地域内 PCB 廃棄物の室蘭搬入といえるのであるが、予行演習に PCB 廃棄物を対象とするのは最悪の選択であるように思われる。」

●「福島県対策地域内の高濃度 PCB 廃棄物処理」
P81 下から 5 行目~P82上から 3 行目

「国の言いなりで自ら判断しない自治体や首長は存在意義がない。
当該地域に住む住民の命と健康を守る責任を持つ地方政府としては、自ら調べ、学習し、国の政策や 方針に対して疑問があれば、異議申し立てしなければならないのである。
そのために必要な 情報や知識は,、現代の地域住民も絶えず習得しているし、必要ならば、大学、研究機関はもちろんのこと、在野の研究者も 動員が可能なのである。
市民あるいは地域住民とよばれる人々が、無知な判断力の乏しい存在であるという考えは、現代では通用しないし、国の審議会等に委員やアドバイザーとして集まっている専門家が、必ずしも正しい意見を持っているわけでないことは、本研究シリーズにおいて、何度も確認し、指摘してきたところである」

●「むすびにかえて」
 P85 上から 10 行目~17 行目

「加害者である東電の救済はどこまでも手厚いのに対し、被害者救済は最初から限定的であり、それさえも、時間の経過とともに、順次打ち切られてきているのが実態である。
さらには、救済の打ち切りととともに、住民の帰還を促進する施策が国によって急ピッチで進められている。
帰還促進が東京五輪遂行と裏腹の関係にあったことは明らかであるが、原発事故によって県外等に避難を強いられた県民が、故郷帰還の願いを人質にとられ、除染もままならない元の居住地に国のプロパガンダに押されて再移動を迫られる現実を、われわれはどう受け止めるべきなのか、少なくとも、そこに、生身の人間を尊重する思考をみることはできないことは確認できるように思われる。」