★12ページに室蘭が出て来ます。
P12~17,P19 に注目しました。
結成:2018年11月/ 略称:廃炉金属ウォッチャーズ/ 内容:日鋼が請け負う可能性のある国の事業(廃炉金属の受け入れ)と福島PCB問題、PCBについて。
しばらく福島PCBばかりにかかってしまいましたし
日鋼さんの担当者も変わっているとのことでご挨拶と、引き続きお願いしたいことを
申し入れ書にしたため持参しました。
★確認できてよかったこと
・今後も市民との窓口連絡を維持していただくこと
・クリアランス金属の加工再利用は、実証実験以降やっていないことの確認
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2022 年 11 月 7 日
日鋼 M&E 株式会社 室蘭製作所
青木良徳 様
申し入れ書
経済産業省・資源エネルギー庁は、2022 年度(令和 4 年度)中に、クリアランス金属の
再利用先の拡大に向け、汎用性の高い資材をより利用価値の高い製品として再利用するため
の実証を行っていく、としています。
その一方で、クリアランス金属の取り扱いに関する留意事項として、「トレーサビリティ
の確保、分別管理、線量測定等安全性の確認、自治体・周辺エリアへの説明・理解」が重要
であることも指摘しています。 *下記資料 13 ページ
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/pdf/027_06_00.pdf
<原発廃炉金属の再利用を監視する市民の会>は、地域の基幹産業でもある日鋼 M&E が
今後も地域住民との信頼関係を保ち共存共栄を続けていくために、以下のことを申し入れい
たします。
なお、クリアランス金属搬入処理計画が決まりました際は、速やかに「自治体並びに市民
への情報公開」をお願いいたします。ご存じの通り、登別市や伊達市では市議会にて
全会一致で「日鋼室蘭製作所の情報公開に関する請願」も通っております。
【申し入れ事項】
1. 室蘭に持ち込まれる原発廃炉金属の搬入処理情報をあらかじめ、できるだけ早
く公にすること。
2. 該当金属が、国の基準に合格したことを示す「確認証」を明示すること。
3. 該当金属について、搬入から製品にいたるまで及び納入先などの過程(トレー
サビリティ)を明らかにすること。
4. 該当金属に含まれる放射性物質について、放射能・放射線の測定データ公開を
行うこと。
5.放射能測定に関わる事項で、行政や市民団体から依頼された第三者機関による
要請があれば、サンプリング・測定に応じること。
6.原発廃炉金属の加工再利用事業に関し、市民との話し合い・問い合わせ等に応
じる窓口を設置すること。
以上
原発廃炉金属の再利用を監視する市民の会
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『世界』4月号。吉田千亜さんの新連載「
https://www.amazon.co.jp/dp/B09T3BZQ48/ref=cm_sw_r_tw_dp_40FXZJARHV1DKDANCW41
https://note.com/kenichioshima/n/n59c3190793c1
大島さんが次のようにtweetしています。
汚染土(除去土壌)のほうは、8000Bq/kg以下は、
福島の住民の皆さんから反対があったため、 再生利用は実証実験にとどまっていますが、廃棄物のほうは、 いつのまにか再生利用(リサイクル) してしまったというのが実情のようです。大変な問題です。
対策地域内廃棄物に含まれる 高濃度PCB廃棄物への 政府の対応の問題点 (2021.12.13)
茅野恒秀 (原子力市民委員会 核廃棄物部会コーディネーター)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2021 年 12 月 13 日
声明: 対策地域内廃棄物に含まれる高濃度 PCB 廃棄物の処理は 拙速に進めるべきではない
原子力市民委員会
座長: 大島堅一 座長代理: 満田夏花
委員: 荒木田 岳 大沼淳一 海渡雄一
金森絵里 後藤政志 島薗 進
清水奈名子 筒井哲郎 伴 英幸
松原弘直 除本理史
環境省は現在、東京電力福島第一原発事故の汚染廃棄物対策地域内での高濃度ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の処理方針を確定させようとしている(環境省福島地方環境事務所「福島県 対策地域内の高濃度 PCB 廃棄物の処理について」(1)。
今年 3 月、環境省は室蘭市で開催された北海道 PCB 廃棄物処理事業監視円卓会議(第 51 回、 事務局は北海道および室蘭市)でこの方針案を示し、7 月に第 1 回住民説明会、8~9 月にパブリ ックコメントを実施、11 月初旬にも室蘭市で住民説明会を開催した。12 月 10 日、室蘭市は市議 会民生常任委員会で、環境省の方針を受け入れる考えを表明した。
この方針は、放射性物質汚染対処特措法(2)に基づき、国の責任の下で処理を行う「対策地域内廃 棄物」に含まれる高濃度 PCB 廃棄物を、放射線管理区域からの持ち出しが認められる表面汚染 密度の基準(4Bq/cm2 以下)を自主的に準用し、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)の 北海道 PCB 処理事業所(室蘭市)へ搬送して、処理を行うというものである。
PCB 特措法(3)に基づく「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」では、2011 年以前より福島 県を含む東北地方、また北海道・北関東・甲信越・北陸地方の PCB 廃棄物を北海道 PCB 処理事 業所で処理することが定められている。しかし、この処理に放射性物質汚染対処特措法を適用す ることで、環境省の方針によれば、処理等に伴って周辺住民が追加的に受ける線量の上限が年間 1 ミリシーベルトで管理されるという。この線量上限は、原発や放射線施設の敷地境界において一般公衆が受ける被ばく量の上限値とされる値であり、原子炉等規制法で定めたクリアランスレベル(再利用・再使用によって受ける線量が年間 10μ シーベルト以下)の 100倍に相当する。
4Bq/cm2の基準は、クリアランスレベルとの矛盾はないとされる(4)ものの、そもそもクリアランスレベルとの関係を考慮して設定された基準ではない。あくまで放射線管理区域からの持ち出しに関する基準であり、これを対策地域から持ち出す際に適用するのは無理がある。かつ、環境省 はこの基準適用をあくまで自主的に行うものとしており、法的根拠もない。このような事態は、室蘭市が PCB 処理事業所を受け入れた際には想定されていなかったものであり、何重にも無理を重ねた状態である。
この方針は、事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理に関する根本的な矛盾を露呈 している。放射性物質汚染対処特措法によれば、対策地域内廃棄物には廃棄物処理法や原子炉等 規制法の規定を適用しない(法第 22 条)。これにより廃棄物はクリアランスレベルの適用から外れることになる。一方、同法の基本方針では、廃棄物処理法に基づく廃棄物の処理体制、施設等 を可能な範囲で積極的に活用するとしている。この法と基本方針の間にあるズレを利用するかのように、(廃棄物処理法の特別法である PCB 特措法を根拠に)北海道 PCB 処理事業所で、(放射 性物質汚染対処特措法を根拠に)年間 1 ミリシーベルトの線量上限値をもって、対策地域の外で の処理が行われようとしている。
原子力市民委員会は、福島原発事故後、放射能をおびた物質の管理に関して二重基準(ダブルスタンダード)がつくられ、その適用範囲がなし崩しに広がることの問題点を幾度となく指摘してきた(5)。また、放射性物質汚染対処特措法に基づく処理の過程では、バグフィルター等の設備が 必ずしも機能していないことの問題も明らかになっている(6)。
PCB はカネミ油症事件を契機として厳しい規制の対象となった物質であり、適正な処理の必要性はある。しかし、処理方針の矛盾や規制の不備を放置したまま、拙速な処理を実施すべきで はない。政府は、いったん今回の方針を取り下げ、国民の熟議と合意に基づき、福島原発事故由 来の放射性廃棄物の体系的な最終処分のあり方を再構築すべきである。
以上
本件についての問い合わせ先:原子力市民委員会 事務局
〒160-0003 東京都新宿区四谷本塩町 4-15 新井ビル 3 階
(高木仁三郎市民科学基金内)
TEL/FAX: 03-3358-7064 Email: email@ccnejapan.com
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(1) 環境省福島地方環境事務所「福島県対策地域内の高濃度 PCB 廃棄物の処理について」(令和 3 年 11 月) http://shiteihaiki.env.go.jp/initiatives_fukushima/waste_disposal/pdf/processing_fukushima_pcb_policy.pdf 2
(2)福島第一原発事故を受け、2011 年 8 月公布、2012 年 1 月全面施行。
(3) 「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」。2001 年 7 月施行。中間貯蔵・環境安全事 業株式会社(JESCO)を通じて、全国 5 箇所に処理施設を整備。
(4)たとえば日本保健物理学会「計画被ばく状況における汚染した物の搬出のためのガイドライン」の「解説」における計算例。http://www.jhps.or.jp/cgi-bin/news/page.cgi?id=34
(5)原子力市民委員会『原発ゼロ社会への道 2017 ― 脱原子力政策の実現のために』第 3 章 pp.120-125(2017 年 12 月)http://www.ccnejapan.com/?p=8000 原子力市民委員会「声明: 環境省は除染土の再生利用と安易な処分をやめ、国民の熟議と合意にもとづいた最終処分 のあり方を提示せよ」(2019 年 5 月)http://www.ccnejapan.com/?p=9951 原子力市民委員会「声明: 環境省は放射性物質の無秩序な拡散につながる除去土壌の再生利用方針を撤回し、事故由来放射性廃棄物・除去土壌の体系的な最終処分のあり方を再構築せよ」(2020 年 2 月) http://www.ccnejapan.com/?p=10796
(6) 原子力市民委員会特別レポート 7「減容化施設と木質バイオマス発電 ― 肥大化する除染ビジネス、拡散するリスク」http://www.ccnejapan.com/CCNE_specialreport_7.pdf
▼オンライン記者会見の動画(問題点がとてもわかりやすいです)
✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱
福島PCB 緊急声明まとめ はこちら
https://hairokinzokuwatchers.blogspot.com/2021/11/pcb.html
✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱
経済産業省 資源エネルギー庁→スペシャルコンテンツ→記事一覧→廃炉からのゴミをリサイクルできるしくみ「クリアランス制度」
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/clearance.html
・・・・・・・・・ウォッチャーズの気持ち・・・・・・・・・
これの一番最後のほうに
「実証により、クリアランス物を加工する前後において、製造した試作品や製造に
使用した設備、および工場の周辺に、放射能の影響がないことが確認できました。」
と書いてあります!
日鋼の実証実験が、こんな書き方をされているとは心外です。
実証に使われた金属に含まれる放射性物質の総量に触れることなく、こんなことを
言うなんて、どこまでご都合主義なのでしょう!呆れ果てます。
もう、やりたい放題の放射能行政( 一一)!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2019-02-15の記事
原子力発電(原発)の廃炉などをおこなうにあたっては、さまざまな“ゴミ”、つまり廃棄物が出ます。これらの廃棄物については、放射能レベルに応じて、適切に処分するよう法律でさだめられています。その中でも人の健康に対する影響を無視できるレベルのもので、国(原子力規制委員会)の確認を受けたものは「クリアランス物」と呼ばれ、一般の産業廃棄物と同じ扱いができる制度が設けられています。今回は、この「クリアランス制度」についてご紹介しましょう。
原発の運転や解体などの過程では、さまざまな廃棄物が生じます。これらの廃棄物は、放射能レベルに応じて、「高レベル放射性廃棄物」「低レベル放射性廃棄物」などに分類されます。
発電にともない発生する使用済燃料は、再処理され、その中に含まれるウランやプルトニウムは燃料として再利用されるとともに、後に残る廃液は処理されて、「ガラス固化体」になります(「放射性廃棄物の適切な処分の実現に向けて」参照)。このガラス固化体は「高レベル放射性廃棄物」に分類され、それ以外の放射性廃棄物は「低レベル放射性廃棄物」に分類されます。
「低レベル放射性廃棄物」の中でも、たとえば原子力発電所で建物に使われていたコンクリートなどは、きわめて低い放射能レベルの廃棄物に分類されます。一方で、発電する際に使用されていた制御棒や、原子力発電所の炉内にあった構造物などは、放射能レベルの比較的高い廃棄物として扱われます。
これらの廃棄物の処理・処分の方針については、2018年7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」(「新しくなった『エネルギー基本計画』、2050年に向けたエネルギー政策とは?」参照)で示されており、放射能レベルに応じて適切に処分することが法律でさだめられています。
ところで、先ほどの表で、クリアランス制度の確認を受けた廃棄物は産業廃棄物に分類されるとありました。「クリアランス制度」とは、いったいどういう意味なのでしょう?
「クリアランスレベル」とは、放射能レベルがきわめて低く、人の健康に対する影響を無視できるレベル(年間0.01ミリシーベルト)であるものを指します。そのレベルは、自然界の放射線から受ける放射線量(日本平均で年間約2.1ミリシーベルト)の100分の1以下に相当します。
クリアランスレベル以下の廃棄物のうち、原子力規制委員会による確認を受けたものについては、”放射性廃棄物として扱う必要のないもの”、つまり産業廃棄物として、再利用または処分できる制度が設けられています。それが、「クリアランス制度」です。この制度は、2005年の「原子炉等規制法改正」によってさだめられました。
たとえば、110万kW級の「沸騰水型軽水炉(BWR)」と呼ばれる原子炉を解体したとすると、それにともなって発生する廃棄物のうち、約93%が放射性廃棄物ではない廃棄物(産業廃棄物)であり、「クリアランスレベル」に相当する放射性廃棄物は約5%、「低レベル放射性廃棄物」にあたるものは2%という内訳になります。クリアランス制度によって、クリアランスレベル以下の廃棄物も産業廃棄物として処分や再利用ができるようになれば、資源を有効活用することができます。
原子力規制員会による確認を受けたクリアランス物は、産業廃棄物として処分したり、再利用したりすることができるものです。ただし、日本では、クリアランス制度が社会に定着するまでの間は、以下の用途で再利用するなど、電気事業者などが自主的に再利用先を限定することで、市場に流通することがないよう運用されています。なお、英国やドイツなどでは、クリアランス制度の下で、クリアランス物が一般市場に流通しています。
クリアランス制度が導入されて以降、日本原子力発電株式会社(日本原電)と中部電力株式会社、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)が申請した廃棄物が、クリアランス物として認可されています。
日本原電の東海発電所の廃止措置にともなって生じたクリアランス物を再利用してつくられたもの。写真左上は、敦賀原子力館で展示されているベンチ、写真右上は東海発電所長室で使用されているテーブル、写真下は、中部電力株式会社浜岡原子力発電所内で使用されているベンチ。
電気事業連合会や電気事業者は、クリアランス物の再利用や展示の状況について、ホームページなどで情報を公開しています。また、電気事業連合会や日本原電は、一般市民や学生に対してクリアランス制度などについて説明もおこなっています。
また、国の委託事業として、2015年度から2017年度にかけて、クリアランス物の再利用に関する実証をおこないました。日本原電の東海発電所の廃止措置にともなって生じたクリアランス物を、株式会社日本製鋼所の室蘭製作所に搬入し、低レベル放射性廃棄物を処分するための容器(処分器本体の内側に入れる内容器)に再利用するというものです。
実証により、クリアランス物を加工する前後において、製造した試作品や製造に使用した設備、および工場の周辺に、放射能の影響がないことが確認できました。
今後原発の廃炉が増える中で、時間の経過とともに放射性廃棄物の発生量は増加していきます。これらの廃棄物の処理・処分をスムーズに、かつ安全に進めるため、また、資源を有効活用するため、人の健康に対する影響を無視できるクリアランスレベル以下の廃棄物を、“放射性廃棄物として取り扱う必要のないもの”として再利用していくことは重要です。前述したとおり、当面は電力業界内での再利用などに限定した上で、引き続き、適切な情報の開示や広報などをおこない、クリアランス制度の更なる活用の促進に取り組んでいきます。
電力・ガス事業部 放射性廃棄物対策課
長官官房 総務課 調査広報室