★放射線被ばくを学習する会
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★2021年12月に出して下さった申し入れ書
山口 壮・環境大臣 殿
鈴木直道・北海道知事 殿
青山 剛・室蘭市長 殿
放射能汚染されたPCB廃棄物の
北海道室蘭市への移動・処理に反対します
環境省は福島県高濃度汚染地域(「対策地域」)内の高濃度PCB廃棄物を北海道室蘭市にあるJESCO(中間貯蔵・環境安全事業(株))に搬入し、PCBを処理したのち、放射性廃棄物(「処理後物」)を福島県に戻し、富岡町の最終処分場で処分する計画を進めています。青山・室蘭市長は12月10日、室蘭市議会民生常任委員会で、突然、計画受け入れを発言したと伝えられています。
私たちは以下の理由からこの計画に反対し、計画を撤回するよう申し入れます。
第1に、放射能汚染を拡散させないため、汚染された物を移動させないのが原則です。2011年3月11日の東北沖大震災後、汚染された「災害廃棄物」を全国各地の焼却炉に運んで処分し、各地に放射能汚染を広げてしまった過ちを再び繰り返すのでしょうか。
福島原発事故後10年以上も未処理だった「トラック2台分」(「結果」* 3頁1-4)のPCB廃棄物容器等の放射能をわざわざ削り落として「4㏃/cm2」にし(「スライド」*2 25)、室蘭市に運び、JESCOの作業員たち、室蘭市民を被ばくさせ、福島県富岡市に戻してまた被ばくさせる、そんな必要があるとは思えません。「トラック2台分」のPCB廃棄物を厳重に保管管理すれば済むことではないでしょうか。
第2に、今回の計画は「放射性物質による影響がない廃棄物に限って処理をするもの」(「結果」2頁1-1)で、「(4㏃/cm2以下なら)放射性物質による影響を与えることなく安全に処理が可能です」というのが大前提です。しかし、放射能に安全な量はないので、大前提が成り立ちません。
第3に、安全対策として「処理時においては、空間線量率及び排気中の放射能濃度の測定を行い、万一異常が確認された場合は速やかに処理を停止し、周辺住民に影響を及ぼすことのないよう迅速に対応します」(「結果」* 23頁 5-2)としていますが、
①空間線量率の変動幅を超えるほどの変化が生じるのは、福島原発事故のような大事故の場合であり、空間線量率で安全性を証明することはできません。
②排気中の放射性物質測定の検出下限値は1㏃/m3とされています(「スライド」*221)が、検出限界が高すぎて、排気中に放射性物質が漏れても検出できません。検出下限値は環境省公定法で0.15Bq/m3、宮城県大崎市焼却炉では試験的に0.002 Bq/m3レベルの測定が行われています。
以上3点に共通しているのは、環境省の放射線影響軽視です。
「スライド*2 33」に書かれている「100mSv以下の被ばくによる発がんリスクは極めて小さく、生活環境中の他の発がん要因の中に隠れてしまい、放射線が原因と認識されないことが国際的な認識となっています。」はその端的な表れであり、明らかにフェイクです。妊婦が腹部に10mSv程度被ばくすると胎児の白血病が増えることが50年以上も前に明らかにされており、X腺撮影室の扉には必ず「妊娠している可能性のある方は申し出てください」と表示されています。
私たちは環境省が「放射能影響にしきい値はない」ことを確認し、今回の計画を撤回するよう申し入れます。
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