2021/12/14

■【放射能汚染PCB】(2021.12.13)抗議文▶「原発反対金曜デモ」主宰 荒木尊文さま、「 非戦いぶり」代表 上野白湖さま「福島の放射性 PCB 廃棄物の室蘭への持ち込みに関する 青山市長のだまし討ち決定に抗議する」

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室蘭市長 青山剛様

福島の放射性 PCB 廃棄物の室蘭への持ち込みに関する

青山市長のだまし討ち決定に抗議する


原発反対金曜デモ主宰 荒木尊文

非戦いぶり代表 上野白湖


青天の霹靂というのはこういうことをいうのだろう。

報道によれば、青山市長は 7 月と 11 月の 3 回の説明会を通して「市民の理解が深まっ

た」ので、受け入れを決めたという。

だが、説環境省は明会参加者の不安や疑問に何一つまともに答えてはいない。答える知

識も能力も持っていなかったし、むしろ答える気がなかったというべきだろう。私たちが危

惧した通り、「3 回も説明会を開いたからもういいだろう」という態度だった。

先の説明会に参加した人の中で、「市民の理解が深まった」と感じた人がどこにいたとい

うのか? 青山市長はどういうところをみてそう思ったのか? 参加者に深まったのは、廃

棄物への不安と、環境省がまともな処理をやる気がないのではないかという疑惑だけであ

る。環境省や室蘭市の職員さえ、参加者がそう受け取ったと感じたに違いない。

寿都町の片岡町長は少なくとも「町民は理解している。だから受け入れる」と言って、放

射性廃棄物処理場の文献調査に応じることを宣言した。しかし青山市長は最近の説明会で

も何も語ってはいない。まるで「私は何も決めていません。白紙です」という態度であり、当

然私たちもそう受け取っていた。その意味で青山市長は片岡町長よりもはるか卑劣であり、

やり方がだまし討ちそのものである。しかも青山市長は専門家に諮問したというが、その専

門家がどんなことを言ったのかすら明らかにしない。

つけ加えれば、仮にも青山市長は工学部卒であり、この問題について素人ではない。自

分の言葉でこの問題に答える知識と能力をある程度持っているはずだ。にもかかわらず、

なぜ自分の言葉で「こういう理由で安全だ」と市民に言おうとしないのか? 青山市長自身

が安全ではないことを知っているからではないのか?

青山市長の選択は、クリアランス金属の日鋼への持ち込みや高レベル放射性廃棄物処理

場に続いて、核のゴミの北海道への持ち込みをこれからさらに広げていく途を拓くもので

ある。そのことを知っていながら福島の放射性PCB廃棄物の受け入れたのは、カネのため

としか思えない。青山市長は、汚れ切ったカネと引き換えに、室蘭市民、いや道民の命と健

康を売り飛ばしたに等しい。

改めて私たちは、福島からの放射性 PCB 廃棄物の室蘭への持ち込みをやめるよう求め

る。「カネより命」―これが原発事故の教訓なのだから。


2021 年 12 月 13 日

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 福島PCB  緊急声明まとめ はこちら

https://hairokinzokuwatchers.blogspot.com/2021/11/pcb.html

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■【放射能汚染PCB】(2021.12.5)北海道新聞「記者の視点 室蘭市PCB廃棄物処理 情報公開し説明尽くせ」

 


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■【重要】(2021.12.13)声明▶原子力市民委員会

原子力市民委員会

記者会見資料

対策地域内廃棄物に含まれる 高濃度PCB廃棄物への 政府の対応の問題点 (2021.12.13) 

茅野恒秀 (原子力市民委員会 核廃棄物部会コーディネーター)

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 2021 年 12 月 13 日 

声明: 対策地域内廃棄物に含まれる高濃度 PCB 廃棄物の処理は 拙速に進めるべきではない


 原子力市民委員会 

座長: 大島堅一  座長代理: 満田夏花 

委員: 荒木田 岳  大沼淳一  海渡雄一

 金森絵里  後藤政志  島薗 進 

清水奈名子  筒井哲郎  伴 英幸

松原弘直  除本理史 


環境省は現在、東京電力福島第一原発事故の汚染廃棄物対策地域内での高濃度ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の処理方針を確定させようとしている(環境省福島地方環境事務所「福島県 対策地域内の高濃度 PCB 廃棄物の処理について」(1)。

 今年 3 月、環境省は室蘭市で開催された北海道 PCB 廃棄物処理事業監視円卓会議(第 51 回、 事務局は北海道および室蘭市)でこの方針案を示し、7 月に第 1 回住民説明会、8~9 月にパブリ ックコメントを実施、11 月初旬にも室蘭市で住民説明会を開催した。12 月 10 日、室蘭市は市議 会民生常任委員会で、環境省の方針を受け入れる考えを表明した。 


 この方針は、放射性物質汚染対処特措法(2)に基づき、国の責任の下で処理を行う「対策地域内廃 棄物」に含まれる高濃度 PCB 廃棄物を、放射線管理区域からの持ち出しが認められる表面汚染 密度の基準(4Bq/cm2 以下)を自主的に準用し、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)の 北海道 PCB 処理事業所(室蘭市)へ搬送して、処理を行うというものである。 

 PCB 特措法(3)に基づく「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」では、2011 年以前より福島 県を含む東北地方、また北海道・北関東・甲信越・北陸地方の PCB 廃棄物を北海道 PCB 処理事 業所で処理することが定められている。しかし、この処理に放射性物質汚染対処特措法を適用す ることで、環境省の方針によれば、処理等に伴って周辺住民が追加的に受ける線量の上限が年間 1 ミリシーベルトで管理されるという。この線量上限は、原発や放射線施設の敷地境界において一般公衆が受ける被ばく量の上限値とされる値であり、原子炉等規制法で定めたクリアランスレベル(再利用・再使用によって受ける線量が年間 10μ シーベルト以下)の 100倍に相当する。

 4Bq/cm2の基準は、クリアランスレベルとの矛盾はないとされる(4)ものの、そもそもクリアランスレベルとの関係を考慮して設定された基準ではない。あくまで放射線管理区域からの持ち出しに関する基準であり、これを対策地域から持ち出す際に適用するのは無理がある。かつ、環境省 はこの基準適用をあくまで自主的に行うものとしており、法的根拠もない。このような事態は、室蘭市が PCB 処理事業所を受け入れた際には想定されていなかったものであり、何重にも無理を重ねた状態である。

 この方針は、事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理に関する根本的な矛盾を露呈 している。放射性物質汚染対処特措法によれば、対策地域内廃棄物には廃棄物処理法や原子炉等 規制法の規定を適用しない(法第 22 条)。これにより廃棄物はクリアランスレベルの適用から外れることになる。一方、同法の基本方針では、廃棄物処理法に基づく廃棄物の処理体制、施設等 を可能な範囲で積極的に活用するとしている。この法と基本方針の間にあるズレを利用するかのように、(廃棄物処理法の特別法である PCB 特措法を根拠に)北海道 PCB 処理事業所で、(放射 性物質汚染対処特措法を根拠に)年間 1 ミリシーベルトの線量上限値をもって、対策地域の外で の処理が行われようとしている。


  原子力市民委員会は、福島原発事故後、放射能をおびた物質の管理に関して二重基準(ダブルスタンダード)がつくられ、その適用範囲がなし崩しに広がることの問題点を幾度となく指摘してきた(5)。また、放射性物質汚染対処特措法に基づく処理の過程では、バグフィルター等の設備が 必ずしも機能していないことの問題も明らかになっている(6)。 

 PCB はカネミ油症事件を契機として厳しい規制の対象となった物質であり、適正な処理の必要性はある。しかし、処理方針の矛盾や規制の不備を放置したまま、拙速な処理を実施すべきで はない。政府は、いったん今回の方針を取り下げ、国民の熟議と合意に基づき、福島原発事故由 来の放射性廃棄物の体系的な最終処分のあり方を再構築すべきである。


 以上 


本件についての問い合わせ先:原子力市民委員会 事務局

 〒160-0003 東京都新宿区四谷本塩町 4-15 新井ビル 3 階 

(高木仁三郎市民科学基金内)

 TEL/FAX: 03-3358-7064 Email: email@ccnejapan.com 


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 (1) 環境省福島地方環境事務所「福島県対策地域内の高濃度 PCB 廃棄物の処理について」(令和 3 年 11 月) http://shiteihaiki.env.go.jp/initiatives_fukushima/waste_disposal/pdf/processing_fukushima_pcb_policy.pdf 2 

(2)福島第一原発事故を受け、2011 年 8 月公布、2012 年 1 月全面施行。

(3) 「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」。2001 年 7 月施行。中間貯蔵・環境安全事 業株式会社(JESCO)を通じて、全国 5 箇所に処理施設を整備。 

(4)たとえば日本保健物理学会「計画被ばく状況における汚染した物の搬出のためのガイドライン」の「解説」における計算例。http://www.jhps.or.jp/cgi-bin/news/page.cgi?id=34 

(5)原子力市民委員会『原発ゼロ社会への道 2017 ― 脱原子力政策の実現のために』第 3 章 pp.120-125(2017 年 12 月)http://www.ccnejapan.com/?p=8000 原子力市民委員会「声明: 環境省は除染土の再生利用と安易な処分をやめ、国民の熟議と合意にもとづいた最終処分 のあり方を提示せよ」(2019 年 5 月)http://www.ccnejapan.com/?p=9951 原子力市民委員会「声明: 環境省は放射性物質の無秩序な拡散につながる除去土壌の再生利用方針を撤回し、事故由来放射性廃棄物・除去土壌の体系的な最終処分のあり方を再構築せよ」(2020 年 2 月) http://www.ccnejapan.com/?p=10796 

(6) 原子力市民委員会特別レポート 7「減容化施設と木質バイオマス発電 ― 肥大化する除染ビジネス、拡散するリスク」http://www.ccnejapan.com/CCNE_specialreport_7.pdf


記者会見のNHKニュースはこちら

バグフィルターについての資料

▼オンライン記者会見の動画(問題点がとてもわかりやすいです)



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