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2024/05/17

■【資料】(24.5.14)東京新聞「こちら特報部」(がれき受け入れ拒否で札幌市民を守った元札幌市長の上田文雄さんのお話)

 https://www.tokyo-np.co.jp/article/326855?rct=tokuhou


「核のごみ」を困窮する自治体に…まるで「悪徳商法」 脱原発依存を貫く元札幌市長、「国のやり方」に警鐘


原発が出す高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」を巡り、佐賀県玄海町が第1段階の「文献調査」を受け入れる考えを表明するなど、フェーズが変わりつつある。地域の問題にとどまらない命題をどう捉えたらいいか。他地域に先駆けて調査が進む北海道で「脱原発依存」の旗印となってきた元札幌市長の上田文雄さん(75)に話を聞いた。(木原育子)

◆「非対等性」を見せつける社会問題

「利益を受ける人と、そうではない人。非対等性をこれほど見せつけられる社会問題はない」。上田さんが語気を強めた。もちろん原発のことだ。

 上田さんは2003年から12年間札幌市長を務めた一方、非正規労働者を対象にした労働訴訟などを扱う人権派弁護士の顔も持つ。

 原発問題との関わりも、労働問題の延長線上にあった。弁護士になりたてだった1978年、北海道電力が発電所位置を内陸部から泊海岸(泊村)へと変更。労働者らが反原発運動に傾倒する中、上田さんが関わるのも必然の流れだった。

◆高レベル廃棄物施設「押しつけ」に反対

 1980年代には高レベル放射性廃棄物の関連施設を巡る国の建設計画が活発化。北海道北部の幌延(ほろのべ)町は84年、貯蔵工学センター計画の誘致に手を挙げた。

 危機感を抱いた上田さんは86年、長崎に投下された原爆のプルトニウムが製造された米ワシントン州ハンフォードの核廃棄物処分研究施設などを歴訪。こう考えるに至った。「簡単なポンチ絵を描き、お金をどんどんつぎ込んで、過疎の村に押しつけようという企(たくら)みだとはっきり分かった」。以後は幌延問題で誘致反対運動を率いた。

◆「すきを見せた瞬間、国は全てなし崩しにする」

 潮目が変わったのが2000年。核廃棄物の持ち込みは「受け入れ難い」と明記した北海道特定放射性廃棄物条例が制定された。

 幌延はといえば、中間貯蔵施設などで構成する貯蔵工学センター計画は撤回されたが、地層処分の技術開発を担う深地層研究センターができた。「放射性廃棄物は持ち込まない」と強調される中、上田さんは「警戒感を持って静観するしかない。すきを見せた瞬間に全てをなし崩しにするのが国の常とう手段」と語る。

◆「寿都や神恵内が適地であるはずがない」

 そんな中、道内で動きがあった。20年に寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村が「核のごみ」の文献調査の受け入れを表明。全国で初めて着手され、現在も続いている。

 「非常に姑息(こそく)と感じるのは選定地を選ぶ道筋。地域振興のアメを見せて小さな自治体に手を上げさせ、自治体の意思に従ってやっているように見せる。いったん手を挙げると抜け出せない悪徳商法の手法に似ている。経済的に困窮する地域を札束でひっぱたくやり方があらわになっている」

 そう断じる上田さんは「そもそも2000年制定の最終処分法は、10万年の管理が必要という最終処分を『地質条件に対応した人工障壁を設計すれば安全』という根拠のないことを前提にした欠陥法。多くの地質学者が指摘するように、寿都と神恵内の地層からみても適地であるはずがない」と憤る。

◆がれき受け入れ拒否でバッシングも経験

 上田さんがバッシングにさらされた時期もあった。

 札幌市長在任時の2011年に東京電力福島第1原発事故が起きると、放射性物質が付着したがれきの受け入れ拒否を決めた。この判断を巡り、市には全国から4000通超のメールが届くなど、非難にさらされた。

 「受け入れないと判断したことが、後日に歴史的に誤りだったとしても、市民の安全が守られるから、私が批判されれば済む話。逆に、受け入れが間違いだったと分かる時にはもう遅く、市民に被害が出ている。それは私にとって堪え難いことだった」

◆「北海道会議」立ち上げ「市民自身が判断を」

 文献調査も同じだ。全国で最も進む寿都、神恵内の2町村の次段階は概要調査だ。その可否は知事が判断する。鈴木直道知事は反対の立場だが、上田さんは「『受け入れ難い』と明記する条例が後ろ盾になっているものの、相手(国側)は非常に巧妙。理論的にも現実的にも『受け入れ難い』と言えるように知事自身で諸外国の処分計画地を実際に見聞し、正確な知識を身に付けてほしい。選定地をどう前に進めさせるか、国は北海道を試金石としてみているだろう」と語る。

 2町村が文献調査の受け入れを表明した約半年後の2021年3月には、核のごみについて多様な立場や意見を持つ人らが参加し学び合う「核ゴミ問題を考える北海道会議」を立ち上げた上田さん。「脱原発依存社会を創っていくのは、政治家ではなく市民自身。市民が自立的に判断し、自分たちの生活は自分たちの考えで守る行動ができないと簡単に壊される。自治の力を上げていくことがそれぞれの生活を守ることにつながる」と説く。

 「北海道だけではない。文献調査に名乗り出た地域の問題ではなく、原発を持たない地域ももっと主体的に考えなくてはならない。世代間の倫理としても未来に対して弁明できないほど、とてつもないことをしようとしているのだから」

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核のごみ 

原発の使用済み核燃料から再利用できるプルトニウムなどを取り出した後の廃液を、溶かしたガラスと混ぜ合わせて固めたもの。「ガラス固化体」とも呼ばれる。極めて強い放射線を長期間出し続けるため、国の計画では金属の容器に入れ、地下300メートルより深い岩盤に埋めて地層処分する。ただ日本の地層は軟らかく水を通しやすい上、地震や火山活動も活発で、深い地層に埋めて安全か懸念が消えないのが現状。海外ではフィンランドで処分場が建設中だが、硬く安定した地層という。

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◆20億円を使い果たし、次は「概要調査」も

 核のごみを巡る文献調査を受け入れた北海道寿都町と神恵内村はそれぞれ、2021年度と22年度に10億円ずつ、計20億円の交付金を得たが、すでに多くを使い果たした。注目されるのが今後の動向だ。

 寿都町では21年3月、次段階に当たる概要調査の移行可否については住民投票をすることを定めた条例が制定された。町企画課の担当者は「町民の意思を反映させていくよう仕組み化した」と話す。神恵内村は移行可否を判断する住民投票を検討中だ。村企画振興課の担当者は「投票時期は分からないが、村長は『一つの手法としてある』と話している」と明かす。概要調査に入ると最大70億円が交付されるが、移行には知事の同意が必要とされる。

 2町村に続いて今月、文献調査を受け入れたのは佐賀県玄海町だ。原発立地自治体としては初めて。4月に町議会が請願を採択し、脇山伸太郎町長が「熟考した結果」と表明した。

◆事業者が市議の「視察」旅費を負担

 同じ九州でも違った道を選択した自治体もある。長崎県対馬市だ。昨年9月に市議会が請願採択したが、比田勝尚喜市長は反対の方針を貫いた。

 同市は昨年末、核のごみを巡る「政治とカネ」の問題でも揺れた。市議13人が21年以降に北海道の最終処分関連施設などを視察した際、最終処分事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)が旅費を負担したことが市の政治倫理条例に反すると市の審査会が判断したのだ。

 市民団体「核のごみと対馬を考える会」の上原正行代表(79)は「条例違反で済むのか」と憤る。

 そして「文献調査の鍵をひとたび開けてしまえば、国側はお金を使い、ごり押しで進めてくる」とし「原発を止めることもせず、何本を地層に埋めるか全体像も分からないまま進めれば、あまりに未来に示しがつかない」と語気を強めた。

◆デスクメモ

 核のごみは地下に埋める地層処分が想定されるが、本当にできるか。断層をくまなく把握する難しさ。断層が起こすのは揺れに地盤の動きも。ズレて漏れるとなれば取り返しがつかない。能登でも浮かんだ自然の脅威。処分地選定ばかりに躍起になり、尽くすべき議論から逃げては困る(榊)


2023/03/19

■【新宿除染土再利用】(2023.2.24) Our Planet-TV 「 近隣住民らが環境省に対して、実証実験の中止を求める申し入れを行った」

 

https://www.ourplanet-tv.org/46421/

新宿御苑での除染土実験の中止求め、環境省に申し入れ

東京電力福島原子力発電所事故に伴い発生した除染土壌について、環境省が全国での再利用を目指して、新宿御苑や所沢の環境調査研修所で、実証実験を計画していることについて2月24日、近隣住民らが環境省に対して、実証実験の中止を求める申し入れを行った。

申し入れを行ったのは、新宿区の住民らでつくる「新宿御苑への放射能汚染土の持ち込みに反対する会」と所沢の住民でつくる「所沢への福島原発汚染土持ち込みを考える市民の会」や「埼玉西部・土と水と空気を守る会」の3団体。実証実験の中止や撤回を求めた他、昨年12月に開催された説明会の議事録の公開や、セシウム137以外の各種の測定や情報を提供することを求めた。

これに対して、環境省は丁寧にご説明すると回答。新たな説明会の開催日や回答日などについては一切、回答しなかった。また、セシウム137以外の核種の情報提供については、2012年の文科省の調査研究に基づき、セシウムしか計測しないと明言。詳細な情報の提供を求める住民から、激しい批判が相次いだ。

除染土の「再利用」に法的根拠なし?

さらに、五野井郁夫高千穂大学教授が、「除染土壌を再利用」には法的根拠がないのではないかと指摘。土壌汚染対策法にも、放射性物質汚染対処特措法にも再利用の規定は存在しないと批判すると、環境省の担当者は、特措法に規定された「処分」が「再利用」にあたると説明。「再利用」は「処分」の一類型にあたると回答した。

これに対して、新宿御苑の近隣に住む加部歩人弁護士は、廃棄物処理法では「再利用」と「処分」が別に定められていると指摘。その一方、特措法は「処分」に「再利用」を含むのは、同じ言葉で解釈が異なることとなり、民主主義の根幹を揺るがすと厳しく批判した。

2023/01/24

■【新聞記事】(2023.1.24)北海道新聞「原発回帰方針 撤回すべき」

ウォッチャーズ会員の酒井さんの投稿がありましたので掲載させていただきます。

2023/01/07

■【除染土再利用】(2022.12.17)NHK「除染土再生利用の実証事業 環境省が住民説明会 埼玉 所沢」/説明会資料、現地情報あり

 https://www3.nhk.or.jp/lnews/saitama/20221217/1100015718.html

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(ウォッチャーズのつぶやき)

★現地の情報

18時ころから説明会会場前で40人が集まり、報道関係者も20名ほど来ていたと。

しかし、説明会自体は、メディアはシャットアウト。

また、市会議員であっても該当住所に居住していなければ会場に入れないそうで、環境省の横暴ぶりが目立ちます。

室蘭より酷いですね。円卓会議の存在が大きいのでしょうか。

中では紛糾して22時前まで質問が続き、賛成意見はゼロだったとのこと。

室蘭での説明会と似ています。


こちらは説明会で配布された資料で、説明会中にHPにアップされたようです。

これは、メディアや会場に入れない市民がさんざん環境省に言って、

ようやくアップされたらしいです。

 http://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/recycling/outside_fukushima_prefecture/pdf/info_session_221216.pdf

 住民のイスに番号がふられているのも

何か嫌なものを感じます。意見を言った時に個人を特定しやすいですよね。

2022/12/22

■【除染土再利用】(2022.12.15)東京新聞「除染土再利用も「閣議決定頼み」でなし崩しに猛進…特措法で想定されず、国会での議論もなし」

 https://www.tokyo-np.co.jp/article/219945

東京電力福島第一原発事故に絡み、環境省が前のめりになる除染土の再利用。広域展開の計画を今月公表したが、根源的な疑問がある。事故後に議員立法で成立した除染関連の特別措置法は、再利用に関する規定がないのだ。立法した国会としては「除染で集めた汚染土の再利用まで想定せず」ということか。再利用は「国会が合意するに至らず」と捉えるべきか。少なくとも「この道しかない」と再利用に猛進する状況にあるとは思えない。(山田祐一郎、中山岳)

◆所沢市や新宿御苑で実証事業、前のめりの環境省

 「地元の理解を得られるよう丁寧な説明を尽くす」
 除染土再利用の広域展開計画を今月明らかにした環境省のトップ、西村明宏環境相は9日の会見でそう述べ、再利用を推し進める意向を改めて強調した。
 除染作業で集めた汚染土、いわゆる「除染土」のうち、福島県内で生じた1300万立方メートル余は第一原発周辺にある中間貯蔵施設に搬入された。最終処分する量を減らすべく、環境省が計画しているのが、中間貯蔵する除染土の再利用だ。
除染で集めた汚染土が運び込まれた中間貯蔵施設=2019年2月、福島県大熊町で

除染で集めた汚染土が運び込まれた中間貯蔵施設=2019年2月、福島県大熊町で

 今月には環境調査研修所(埼玉県所沢市)や新宿御苑(東京都新宿区)で実証事業を行うと明らかにした。芝生や花壇、駐車場などの造成に使う。16日と21日には、それぞれの地元で住民説明会を開く。
 除染土の再利用は「汚染拡散につながる」と懸念があるにもかかわらず、環境省は前のめりに進めようとしている。ただ再利用について、きちんと合意が取り付けられているかというと、微妙なところだ。


◆特別措置法に再利用に関する規定はない

 除染土の取り扱いを定めるのは、放射性物質汚染対処特別措置法だ。議員立法で2011年8月に成立した。実はここに、再利用に関する規定はない。
 龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は「環境省は、除染土の再生利用が法で定められているかのようにし、実証事業を推し進めるが、それは拡大解釈だ」と指摘する。
 特措法によれば、除染土の扱い方として記されるのは「処分」だ。再利用は該当しないというのが大島氏の見解だ。「処分は、管理された施設での埋め立てなどを意味するもの。再利用の意味は含まない」
中間貯蔵施設での除染土保管作業=6月、福島県大熊町で

中間貯蔵施設での除染土保管作業=6月、福島県大熊町で

 「処分と再利用は別物」と語る上で引用するのが、一般的な廃棄物の扱い方など規定した廃棄物処理法。実際に見てみると、第1条で「再生」と「処分」が区別して記載されていた。
 埋め立てなどの集中管理ではなく、各地で再利用することになると「法的な管理責任があいまいになる」と述べ「汚染された土を福島のためという名目で、無管理状態にするのは欺瞞ぎまんそのものだ」と強調する。
 日本大の糸長浩司元教授(環境建築学)も「環境省は、特措法を扱った国会のような場でオープンな議論を行うことなく、なし崩し的に再利用を進めようとしている。まさに放射能放置国家だ」と危ぶむ。
 特措法の採決に加わった国会議員は当時、どのような認識だったのか。
 社民党に所属していた阿部知子衆院議員(立民)は特措法を審議している際、「除染土の再利用は想定されていなかった」と語り、再利用に合意した覚えはなかったという。
 「もともと放射性物質で汚染された土壌の処理について規制がなかったためにつくられたのが特措法だった」と振り返った上、こうくぎを刺した。
 「環境省が再利用を進めたいなら、国会で法改正を議論すべきだが、『放射性物質は拡散させない』というのが法律の趣旨。再利用はそこから逸脱する」
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◆「民主主義の手続きとして正統性が薄い」

 環境省の方はといえば、何の合意もなく再利用を進めようとしているわけではない。よりどころになる一つが特措法の基本方針。2011年11月に野田佳彦内閣が閣議決定という形で合意している。
 ここでは、除染土の保管や処分の際に「可能な限り減容化を図る」と記され、汚染の程度が低い除染土について「安全性を確保しつつ、再生利用などを検討する」とうたう。基本方針の中身を踏襲するよう、環境省は実証事業を計画し、再利用を盛り込んだ省令改定も視野に入れている。
 閣議決定も確かに合意の一形態だろうが、国民的な合意を得たわけではない。
 駒沢大の山崎望教授(政治理論)は「除染土の処分方法は国民生活に影響がある重要なテーマ。閣議決定はあくまで時の内閣のメンバーだけの合意で、それだけで進めるのは民主主義の手続きとして正統性が薄い。多くの国民が受け入れられるかどうかは、国会の審議が欠かせない」と話す。
2014年7月、集団的自衛権行使を容認する閣議決定の撤回を求め、抗議の声を上げる人たち=東京・永田町で

2014年7月、集団的自衛権行使を容認する閣議決定の撤回を求め、抗議の声を上げる人たち=東京・永田町で

 近年は国政の重要案件を巡り、閣議決定で方針決定を済ませてしまうケースが目立つという。
 一例が、14年に安倍晋三内閣が閣議決定した集団的自衛権の行使容認だ。その安倍氏が今年7月に銃撃されて亡くなった後、岸田文雄内閣も早々に国葬の実施を閣議決定した。
 山崎氏は「いずれも国会で十分に議論すべきだったが、軽視された。閣議決定を根拠に国民的議論が深まらない政治がまかり通れば、民意が置き去りにされ、行政権力の暴走につながりかねない」と危ぶむ。

◆事故を起こした東京電力の責任はどこに

東京電力ホールディングス本社=東京・内幸町で


東京電力ホールディングス本社=東京・内幸町で

 除染土の後始末を巡り、政府は中間貯蔵施設から45年までに搬出し、福島県外で最終処分する道筋を打ち出すが、具体像は見えないままだ。後始末は重要案件だけに本来は丁寧な合意形成を図るべきだが、環境省は「各地で再利用」ありきの姿勢を取るように思える。一体、なぜなのか。
 国際環境NGO「FoE Japan」の満田夏花事務局長は「中間貯蔵施設から除染土を運び出すことが空約束になりかねない現状で、環境省は少しでも減らそうというポーズを福島の自治体に示したいのではないか」と推し量る。その上で「事故を起こした東電の責任が問われるはずだ。国も責任を持って集中管理を行い、その費用を東電に請求すべきだ」と唱える。
 満田氏は、環境省が示す数値基準も問題視する。再利用できるのは「1キロ当たり8000ベクレル以下の除染土」とするが、これは廃炉原発で出た資材の再利用基準(同100ベクレル以下)より大幅に緩いからだ。さらに「放射性物質を含む土は1カ所で集中的に管理すべきだ。再利用は環境汚染が拡散するリスクをはらむ。こうした問題があるのに、環境省からは国民と広く議論しようという姿勢が感じられない。こっそりと話を進めたがっているようにすら見受けられる」と語る。
 第一原発がある福島県双葉町の元町長、井戸川克隆氏(76)は「再利用なんてありえない話がまかり通るのは、国や東電が根本的な解決策を避け、汚染者負担の原則がないがしろにされてきたからだ」と憤る。
 一方で、国民的議論が足りないと訴える。「一人一人が原発事故の本質について学んだとは言えず、後始末についても官僚の思い通りに話が進むことを止められない。国民は感情論だけで反対するのでなく、主体性を持って処分方法を検討し、国会議員に提案する気概が必要だ。その上で、国民的合意をはかる努力が求められるのではないか」

◆デスクメモ

 除染土再利用は特措法に定めがないのに基本方針に盛り込まれた。途中でおかしな方向に進んだと認識を共にし、後始末の方法を議論し直すことが今、必要な作業では。基本方針を閣議決定したのは民主党政権。流れをくむ面々も過去を顧みるべきだ。それなくして信を得るに至らない。(榊)

■【除染土再利用】(2022.12.6)NHK「福島の除染土 再生利用実証事業を埼玉 所沢でも計画 環境省」/ウォッチャーズコメントあり

 

福島の除染土 再生利用実証事業を埼玉 所沢でも計画 環境省


福島県内の除染で出た土を再生利用できるかどうか確かめる実証事業を、環境省は埼玉県所沢市で行う計画を明らかにしました。福島県外で実証事業が計画されるのは初めてです。

東京電力・福島第一原子力発電所の事故のあと、中間貯蔵施設に運び込まれた福島県内の除染で出た土を、国は放射性物質の濃度が基準を下回れば、公共工事などで再生利用する方針で、これまでに福島県内で盛り土への利用や、農地で野菜を試験的に栽培する実証事業が行われてきました。

この実証事業について、環境省は埼玉県所沢市にある国の施設「環境調査研修所」でも実施する計画を明らかにしました。

環境省によりますと、福島県外での実証事業の計画は初めてで、所内の芝生の広場に穴を掘って土を入れ芝生を養生する計画だということです。

環境省は今月16日に住民説明会を開く予定で、理解が得られれば年明けにも事業を開始したいとしています。

ほかにも実証事業を行う複数の場所を選定する方針で調整を進めているということです。

除染で出た土をめぐっては、2045年までに福島県外で最終処分することが法律で定められていますが、最終処分の見通しは立っていません。


西村環境大臣は6日の閣議後の記者会見で「維持管理の安全性を確認するとともに、除去土壌の再生利用への理解を醸成させる場としても活用していきたい。ほかの候補地ともしっかりと調整を進めていきたい」と述べました。

所沢市「住民の理解得られることが大前提」

所沢市によりますと、環境省からはことし6月末頃に、除染土の再生利用の実証事業を行う候補地の1つであることを伝えられ、住民の理解を得る方法などについて複数回やりとりをしてきたということです。

今回の発表を受けて所沢市は「除染土の再生利用は風評被害に苦しんでいる福島県だけでの問題ではなく、全国的に取り組まないといけない重要な課題だと認識している。できることは協力していきたいが、市民の安心安全を確保し、住民の理解が得られることが、実施の大前提だ」と話しています。

市によりますと、12月16日の住民説明会には、実証事業が行われる国の施設「環境調査研修所」の周辺の住民を対象としていて、すでに自治会に対して周知しているということです。
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★ウォッチャーズの感想(12/5道新記事のコメントと重複部分もありますが)


原発事故の除染で出た放射能に汚染された土壌のバラマキが始まります。

まずは、所沢。あと新宿御苑やつくば市の環境研でも。

 

「住民の理解が得られることが、実施の大前提だ」とのことですが、室蘭でも

同じことを環境省は話しています。単なる枕詞です。

 

室蘭で止められなかったことの影響は大きいです(涙)

所沢市民はどう動くか。そして、これは他人事ではないですね。

実証実験というのは、結論は決まっているアリバイ作りにすぎません。

 

住民説明会のチラシを見ると弥生町および並木町2丁目3番地の人に限るとなっていて、

怒りを覚えます。対象者を矮小化することで反対運動を起こさせにくくしている

室蘭市のJESCOでの処理問題は、住民説明会に参加者の制限はなく、

室蘭市の両隣にある登別市、伊達市の人たちも多く参加していました。

定員も50名先着順というのも酷いです。人口の少ない室蘭市での説明会だって

90人は参加していました。さらにその中には必ず動員が入っていると思います。

 




「除染土の再生利用」という発想は、311原子力惨禍を生み出し

東電・政府の汚染責任を免責し、全国の人々に被ばくを強要するものです。

放射性物質は集中して管理するという鉄則を変えてはならない。

 

民の声新聞が詳しく報じています。

 http://taminokoeshimbun.blog.fc2.com/blog-entry-693.html